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渋柿庵日乗 六六


災害廃棄物調査速報(その2)千葉県浦安市

2011年5月2日

補遺2011年5月9日
 前回も引用した消防庁の4月28日発表の東日本大震災災害情報第115報では、千葉
県浦安市の被害状況は、全壊8棟、半壊470棟である。建物自体には大きな被害がな
くても、液状化により道路が隆起・陥没したため、使用に支障がでたコンクリート
建造物も多い。
 液状化被害は市域の4分の3に及び、上下水道に大きな被害を生じ、とくに下水道
の復旧が遅れたため、多くの市民が仮設トイレでの生活を余儀なくされた。このた
め東京ディズニーランド&ディズニーシーが2パークとも再開したのはゴールデン
ウィーク直前の4月28日だった。
 液状化被害の様子はたびたびメディアで取り上げられたので、映像を見た方も多
いと思う。5月1日、復旧状況の確認に行ったところでは、インフラの復旧は、ほぼ
完了していた。また、撤去したガレキや噴砂を大量に仮置きしているような場所も
見当たらず、街は平静さを取り戻していた。ただし、建物と道路の間に生じてしま
った数十センチの段差を修復することは時間がかかるように思われた。

※次回は仙台市を取り上げます。

(5月9日補遺)
 当ホームページの読者より、浦安市墓地公園に液状化により噴出した砂の仮置き
場があるとの情報を得たので、5月8日に現地を確認した。前回調査で近くまで行っ
たのに見落としていたようで、確かに墓地公園の一番奥(三番瀬側)に仮置き場が
あったので、写真を追加する。

液状化によって破壊した建設中の道路(県企業庁管理)。もともと水平だったが、舗装面が1メートル隆起して破壊された。沿道の樹木は砂に埋まっている。遠景は三番瀬の堤防だが、幸い大きな被害はない。
シンボルロード沿道のビルは、歩道が20センチ隆起したため、使用できなくなっていた。噴砂もまだ残っており、震災直後には1メートルくらい砂で埋まったようである。シンボルロードは首都高速浦安ICから京葉線新浦安駅を経由して東京湾に至る市のメインストリート(市道)であり、埋立地を一直線に縦断している。
すぐ隣のビルでは逆に歩道が30センチ陥没したため、仮設の階段を付けて使用されていた。手前右の私道も破壊されている。建物よりも道路のほうが低くなった場合は、このような応急措置が可能である。液状化の被害は数メートル離れても大きく違う。これは地下の砂の質、地下水位、建物や道路の基礎構造が違うからである。
建物全体が道路より沈下
したため閉店したシンボ
ルロード沿線のコンビ
ニ。建物が道路より低く
なった場合は復旧が難し
い。基礎の地盤改良が不
十分だったため地下水位
が高く、液状化により建
物の自重で沈下したと思
われる。地盤改良工事は
一般的にサンドパイルに
よる水抜きによって行わ
れる。
シンボルロード終点の広場は液状化で破壊されたままになっていた。右手にはパームテラスホテル(赤い建物)、左手にはファウンテンテラスホテル(ベージュの建物)がある。いずれもディズニーリゾート・パートナーホテルであり、人気の高級リゾート型ホテルだが、震災以来休業中。
広場と東京湾の堤防のつなぎ目は大きく破壊されたまま復旧していなかった。堤防にも被害が出ているため、復旧には時間がかかりそうである。
液状化で2メートル浮き上がった下水道のマンホール。下水道は市内の各所でこのようなマンホールの被害が多発し、勾配が取れなくなって復旧が遅れた。後ろの建物は閉鎖された児童福祉施設&保育園。
市内を縦断する境川堤防沿いの歩道が数十メートルにわたって1メートル陥没していた。堤防自体に大きな被害はない。すぐ近くにはJR京葉線の橋梁と新浦安駅がある。同駅では道路(県道)と駅舎(ショッピングセンター)に20センチの段差を生じたため、仮設のスロープを設けていた。
(補遺)浦安市墓地公園の奥の空地に、液状化現象によって噴出した砂を堆積した巨大な砂のピラミッドが出現していた。推定10万トン。砂の品質は良質で、建設骨材に使用できそうだった。現在、再利用できるかどうか土質検査が行われているようである。
(補遺)仮置き場には若干のガレキ類もあったが、砂に比べると少量だった。下水道汚泥が来ていないかとの懸念があったが、確認しなかった。

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渋柿庵主人