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災害廃棄物調査速報(その4)宮城県名取市 |
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2011年5月11日 |
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仙台市の南に位置する名取市の災害廃棄物処理状況を調査した。名取市は仙台空 港がある自治体である。仙台空港が津波に襲われる場面や、海岸から数キロ内陸に ある仙台南部有料道路が防波堤の役目をして津波を食い止める場面などのビデオが ニュースで放送され、何かと話題になった。 名取市の被害は想像以上だったが、財政力のある自治体なので、仙台市ほどでは ないが、災害廃棄物の撤去も徐々に進んでいる印象があった。ただし、まだ陸上自 衛隊による被災者の捜索も続けられている。 宮城県の計画によると、市の災害廃棄物仮置き場はあくまで一次仮置きである。 今後、県が大規模仮置き場を設置した場合にはそこに移動し、県が建設する計画の 焼却炉又は破砕施設で処理されることになる。災害廃棄物は一般廃棄物であり、処 理義務は市町村にあるため、県が処理するには地方自治法252条の14による委 託をしなければならない。しかし、まだ県の大規模仮置き場は用地選定の段階であ り、いつになるかはわからないため、市による一次仮置きが当分続くものと思われ る。 なお、仙台市と違って名取市の災害廃棄物仮置き場では、分別が不十分という印 象だった。一度未分別の廃棄物を大量に堆積してしまうと、あとから分別すること が困難になるため、県の処理施設ではかなりの問題を生じることが予想される。実 際、関係者に話を聞くと、泥まみれの災害廃棄物を焼却しても、熱釈減量は50% 程度ではないかとのことだった。この場合、大量の燃え殻を処分するため大規模な 管理型最終処分場の建設も必要になる。 また、これから夏季になるにつれて一次仮置き場からの悪臭も問題になりそうだ った。さらに長期間堆積が続いた場合、発酵の熱がこもって自然発火する危険もあ る。千葉県では10メートル以上かつ1年以上の木くず系建設廃棄物の大量堆積現 場で火災発生が相次いだ経験があるが、東北地方は積雪もあり気象条件が違う。そ れでも仮置きが長期化する場合には火災対策が必要であるように感じた。 ※次回は宮城県気仙沼市を取り上げます。
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渋柿庵主人 |