I-Method

渋柿庵日乗 一九


天外有天、人外有人

2010年3月6日
 天の外に天有り、人の外に人有り。中国語では、ティエンワイヨウティエン、レンワイヨウレンと読む。天下は広く、まだ見ない世界、まだ知らない人がたくさんあるという意味だ。井の中の蛙大海を知らずと同じ意味のことわざだが、中国語の天(ティエン)という言葉がストレートに心に響いて美しい。
 私は自治体の職員だから、職務としては自分のいる自治体の中のことにしかかわらないが、本を出版したことがきっかけで、北海道から九州まで、何百回も講演のために旅行し、たくさんの人や会社と出会った。過分にも中国まで講演に招いていただいたこともあり、そのときだけでも貴重な出会いがたくさんあった。
 そのおかげで、普通の自治体職員だったら見られなかったかもしれない広い天下を見ることができたように感じる。
 すごいなあと思う人や会社を見るたび、天外有天、人外有人という言葉を思い出して、自分の過信のいましめにする。ほかにも好きな言葉はたくさんあったのに、いつの間にか、これが一番の座右の銘になってしまった。ときどきスピーチでふれることもあるから、聞いたよという人もいるかもしれない。



 私は、環境の世界に入ってまだ10年そこそこのキャリアしかない。この世界で30年、40年と活動している人に比べれば、小学生からやっと中学生に進学した程度だ。
 お笑い芸人に「もう中学生」という芸名のかたがいて、お笑い番組で見かけるたびに、がんばれと応援している。だけど私だって、1970年の廃棄物処理法成立以来、ずっと産廃の世界で仕事を続けていらっしゃるかたや、売上高何百億円という産廃処理業の経営者のかたからみれば、みなさんの同情でなんとかしのいでいる新人のお笑い芸人なみなのかもしれない。そういう私が偉そうに「産廃業界の優良化」について語るのは、きっと片腹痛いことだろう。
 それでも私にだって、何か語るべきことがあるのだと信じて、発言を続けようと思っている。
 はじめて出合った人が、こんな人がいたんだなあ(=人外有人)と思ってくれるような話ができるようになれたら、とても幸せだ。



 3月になり、さらに増えたこのホームページのコンテンツを更新するため、実はほんとうに忙しくなり、夕食を食べながら(あるいは夜食を食べながら)キーボードを叩くという毎日だ。数日前には、浅草橋駅のホームに立ったまま、終電も間近になった電車を何本も目の前で見送りながら、コンテンツを更新した。
 そんなわけで、新たな出会いを求めるどころではないが、直接会わなくても、このホームページにアクセスしてくれる人がお一人でもいるかぎり、それが出会いだと思って、更新を続けていこうと思う。

 今回は、ちょっと疲れたのか、とりとめのない話をしてしまった。

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渋柿庵主人